間違いやすい印紙税の基礎知識

印紙税

契約書や領収書にいくらの印紙を貼ったらよいか迷った経験はございませんか。

いくらの印紙を貼付するかは、印紙税法で定められているのです。

今回は、迷いやすい印紙税の考え方について復習してみましょう。

 

印紙税の考え方

印紙税は、各種の契約書、領収書、通帳など、経済取引に際して作成される「文書」にかかる税金とされています。やりとりされる文書に税金が課税されることになるため、当然ながら対象となる文書がなければ税金もかかりません。

そして、印紙税は、「文書の種類」や「記載金額」に応じて所定の方法によって決定されます。

 

課税文書かどうかは、文書の名称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、文書に記載されている文言、符号などの実質的な意味を解釈する必要があります。

 

課税文書の判断ポイント

重要なのは、印紙税の課税文書に該当するかどうか、どの種類の課税文書となるかです。

この判断にあっては、次の通り、総合的に検討することが求められます。

文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、(中略)その記載文言の実質的な意義に基づいて判断する。記載文言の実質的な意義の判断は、その文書に記載又は表示されている文言、符号を基として、その文言、当事者間における了解等を加味し、総合的に行うものとする

 

例えば、対象となる文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量などによって、当事者間において取引金額が計算できる場合は、そちらを記載金額とします。

 

また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は売上金の受領書(第17号の1文書)に該当します。

 

例えば、とある契約書に機器保守の契約を業者と締結した場合に、契約書の文言に「月額5万円」と1ヵ月あたりの機器メンテナンス料のみが記載されていとしましょう。

この場合、契約期間の記載がありませんので、合計金額を計算することができません。

上記の場合は「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当し、4,000円の印紙税が必要とと判断されます。

 

しかし、上記契約書の「月額5万円」に「契約期間1年」と書き加えますと、この文書は実質的に合計の契約金額が確定しますので、「請負に関する契約書」(第2号文書)に該当します。

 

そして、記載された金額は年間60万円となりますので、この場合の印紙税は、同区分の「1万円以上100万円以下」の200円となります。