キッチン・台所の取付・交換をした場合

キッチン・台所

賃貸用不動産や事業所用の台所・キッチンがある場合の経理処理についてのお話です。

例えば、不動産賃貸業において、入居者の退去の際、部屋の建具などを交換・補修せざるをえない場合も多いかと思います。その場合、内装専門の業者さんに、必要に応じて建具やキッチンの取り換えや修繕を委託することもあるかもしれません。

この台所やキッチンの設備を取り付けする場合、経理処理をどのようにしたら良いか悩んでしまう場合も意外に多くあります。

 

修繕か資本的支出

台所・システムキッチンの勘定科目を決める際に、その支出が修繕に該当するか、資本的支出に該当するかの判断が必要です。

資本的支出とは、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、固定資産の価値を高めたり、耐久性を増すような支出のことです。

例えば、下記のものは、原則資本的支出に該当することになります。

(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額

(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額

(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(国税庁ウェブサイトより抜粋 7-8-1 )

 

つまり、付加価値の高いシステムキッチンなどは、資本的支出に該当する可能性があるということです。過去には、システムキッチンを交換することが修繕費に当たるか、資本的支出に当たるか争われた下記のような事例もあります。

 

システムキッチンの経理処理

居住用の不動産(マンション)を賃貸していたオーナーが、賃貸していた部屋の台所などを取り壊し、新しいシステムキッチンに取替えた支出を修繕費としたところ税務署から指摘されたと言います。

オーナーは、次のような理由で修繕費であると主張しました。

  1. 居住用の機能を回復させる工事であること
  2. 建物の基礎や柱などの躯体に影響を与えるものでなく、建物の現状維持が目的であること

これに対し、上記のシステム・キッチンは、建物と物理的に不可分なものであり、建物の修繕費(既存設備の解体工事)と資本的支出(新設備の取得)が同時に行われたもので、建物の価値増加に貢献することから、資本的支出と判断されました。

システムキッチンとは、ご存知のとおり、台所の形態の一種で、ある規格に基づいて作られた流し台、調理台、ガス台、収納部などを自由に組み合わせ一体化して作り付けた台所のことです。

このシステムキッチンは、流し台等が建物新築時より床や壁に固定され、給湯、給排水、電気及びガス設備と連結させて、初めて住宅内での調理等ができるもので、建物との物理的な接着度が高く、容易に取り外せないものであったようです。

「建物と一体不可分な台所」と判断されたのですが、以前は、「建物と可分・独立」なものとして「器具備品」と整理する例が多かったようです。

 

状況に応じて総合的な判断を

上記の事例はあくまで一例であり、台所・キッチンの工事については、修繕費になるか資本的支出になるか、既存資産を除却し、新規取得資産の取得するかなど、個別に判断する必要があります。

支出金額の内容、支出効果の実質を踏まえて、既存の資産が「建物」で計上されているか、「器具・備品」で計上されているのか等も確認する必要があります。