企業主導型保育事業の助成金(圧縮記帳)

補助金

最近では、多くの地域で企業主導型保育園(内閣府の企業主導型保育事業によって設立された保育園)が設立されています。

企業主導型保育園とは、 企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設や地域の企業が共同で設置、利用する保育施設のことです。

この企業主導型保育園に対しては、内閣府から整備費及び運営費の助成が行われています。

では、この助成金をもらった場合の経理処理にはどのようにするか、これが今回のテーマです。

 

整備費とは

企業主導型保育事業においては、整備費と運営費の2分類で助成金が受給できます。

整備費とは、下記の計算方法に基づき、国から保育園などに支給されます。

人口密度区分、定員区分の2つの区分における基準額を基礎として 基本単価を算出し、実際にかかった対象工事費用に3/4を乗じた額と比較し低い方の額を助成します。

公益財団法人 児童育成協会ウェブサイトより

この整備費については、保育園舎の建物・土地の整備などに利用されます。

 

圧縮記帳を適用可能

上記の企業主導型保育事業の整備費にあたって、固定資産(建物など)を取得した場合、圧縮記帳の適用が認められます。例えば、企業主導型保育事業で建物を取得した場合には、下記のような仕訳イメージになるでしょう。

<直接減額方式>

建物 20,000千円 普通預金 20,000千円
普通預金 20,000千円 国庫補助金収入

(特別利益)

20,000千円
建物圧縮損 20,000千円 建物 20,000千円
ケイコ先生ケイコ先生

上記の直接減額方式の他、利益剰余金処理方式などもありますので、チェックしてみてください。

これによって、助成金収入が課税されずに、助成金の効果を失わなくてすみます。

 

事業年度をまたぐ場合の処理

補助金の取得と建物の完成の事業年度が異なる場合もありえます。この場合、補助金をもらったときに圧縮損を計上していまうと、建物が完成していないため、建物を減額することができないといった問題がでてきてしまいます。

この場合には、「圧縮未決算特別勘定」を使用して、翌期に特別利益を繰り越するように処理することも可能です。

鉄道会社が国税庁に処理内容を照会した実績があるようですので、下記をご参照ください。

補助金・助成金

参照元:国税庁公式ウェブサイト「国庫補助金等の交付事業年度後に固定資産等を取得等した場合の圧縮記帳の取扱いについて

 

まとめ

以上、保育園の助成金の経理処理の一例でした。いかがでしたか。難しい内容ですので、顧問税理士さんに確認するか、専門書を熟読することをおすすめします。