IT・ソフトウェア業界特有の会計処理

 

デジタル・トランスフォーメンション(DX化)をはじめ、IT業界を取り巻く環境は目まぐるしく変貌しています。今回は、IT、ソフトウェア産業における会計、記帳処理について、詳しく見ていきたいと思います。

 

市販ソフトウェアの売上計上

市販のソフトウェアパッケージ等を販売する場合、プログラムの著作権の販売ということになります。

パッケージの流通のみならず、クラウド環境下を利用した提供であっても、基本的には使用許諾契約に基づく契約の場合、ソフトウェア販売の収益(売上高)の計上時期は、そのソフトウェアをユーザが使用できることになった段階となります。

 

受注型ソフトウェアの売上計上

ソフトウェアの受注政策の場合、プロジェクトによっては、1年を超える期間となることも多いかと思います。この場合、一定の要件を判断した上で、工事契約に関する会計基準に基づき、工事完成基準、工事進行基準に売上高を計上することが求められます。

 

ソフトウェア開発の計上

販売目的のソフトウェアを開発した場合、制作部分によって、下記のように取り扱う必要があります。

  • 研究開発にかかる部分 → 研究開発費
  • ソフトウェア製品の制作スタートから製品が完成するまでの費用 → 無形固定資産
  • 機能の「著しい改良」 → 研究開発費

ソフトウェア製品が完成し「ソフトウェア」として資産計上した後は、製品の見込販売数量見込販売収益を見積り、3年以内の償却期間で減価償却することになります。

 

受注型のソフトウェアを開発している場合、先ほどの「工事契約会計基準」によって処理します。受注制作している案件ごとに工番(プロジェクト番号)を振り、個別に原価を管理します。