補助金・助成金を受給した場合

国や地方自治体などから、たくさんの補助金・助成金が公募されています。研究開発、機械装置を購入を支援してくれるもの、人を採用した際にもらえる助成金、会計ソフトや顧客管理ソフトなどクラウド化を支援してくれるような補助金まで、バライエティー豊かな補助金、助成金があふれています。

今回は、そのようなお得な補助金・助成金についての経理処理を説明します。

 

補助金の経理処理

国、地方自治体の補助金制度で固定資産等を購入した場合、圧縮記帳という経理処理を行うことができます。圧縮記帳の対象となるのは、ここで言う「固定資産等」に限られますので注意が必要です。

固定資産は、土地、減価償却資産、電話加入権などがありますが、ここでは、減価償却資産を対象として記載していきたいと思います。

ケイコ先生ケイコ先生

勘定科目は、国庫補助金受贈益、雑収入等を使うことが多いですね。いづれにせよ、売上高以外の収益となります。

圧縮記帳を適用

固定資産(減価償却資産)は、有形固定資産、無形固定資産に分かれますが、いずれも減価償却を行って費用を計上していきます。

ただし、固定資産を取得する際には初年度の減価償却費用しか計上できないため、補助金を受給した金額(利益)の方が大きく、受給前後で課税が大きくなってしまいます。

このため補助金の効果が小さくなってしまうことを防ぐため、圧縮記帳という処理方法が利用されます。

 

(圧縮記帳をとらない場合)

購入時 (借)機械装置 3,000万円 (貸)普通預金 3,000万円
補助金受領時 (借)普通預金 2,000万円 (貸)固定資産受贈益 2,000万円
決算時 (借)減価償却費 600万円 (貸)機械装置 600万円

上記では、結果的に補助金を受給したため、利益が1400万円も増えてしまい、税金の対象が増えてしまっていることがわかります。これを防ぐために、下記の通り圧縮記帳の経理を行います。

 

(圧縮記帳で経理処理する場合)

購入時 (借)機械装置 3,000万円 (貸)普通預金 3,000万円
補助金受領時 (借)普通預金 2,000万円 (貸)固定資産受贈益 2,000万円
決算時 (借)固定資産圧縮損 2,000万円 (貸)機械装置 2,000万円
決算時 (借)減価償却費 200万円 (貸)機械装置 200万円

圧縮記帳をすることで、補助金を受給した利益が相殺されたことがわかります。これにより、補助金の有無にかかわらず、通常の減価償却費用200万円が計上されることになります。

圧縮記帳の方法には、他にも剰余金処分方式という方法もあります。

 

補助金・助成金の経理処理の留意点

補助金・助成金の経理にあたっては、他にも多くの留意点があります。補助金・助成金の交付要綱などを確認するとともに、不安がある場合は、所管の役所に問い合わせましょう。

以下、よくあるミスを列記しますので、ご参考ください。

  • 交付事業年度末までに返還しなくてもよいと確定した場合に圧縮記帳が認められます。
  • 圧縮記帳は、一時的に課税を回避しているもので、翌年以降は減価償却費が大きくなるため、圧縮記帳の有無はトータルでは変わらない。
  • 運転資金(人件費、家賃、消耗品費)などは、圧縮記帳はできません。