インボイス制度に対応する費用処理
インボイス制度に対応するためのシステム修正費用が、いわゆる「資本的支出」か「修繕費」のいずれに該当するのか、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
今回は、今話題のインボイス制度に関するトピックをご紹介したいと思います。
請求書の様式変更など
国税庁によれば、会計システムのプログラムの修正が、現行の請求書フォーマットや税額計算方法に関連し、インボイス制度の実施に必要な修正である場合、それはシステムに既存の機能を保つための修正となります。
この場合、新たな機能の追加や向上は含まれず、修正にかかる費用は修繕費とみなされます。
新たな機能追加
逆に、プログラムの修正がソフトウェアの新機能追加や向上に関連し、現行の機能を保つだけでなく、新たな機能を提供する場合、その修正にかかる費用は資本的支出になります。
例えば、某社は適格請求書発行事業者として登録を受け、インボイス制度への対応のために、POSレジシステム、商品の受発注システム、経理システムのプログラム修正を外部に委託しました。
具体的な修正内容は、請求書のフォーマットへの登録番号や軽減税率対象品目の表示、税率ごとに合計した対価の額(税抜きまたは税込み)、適用税率、消費税額の追加、また積上げ計算方式による仕入税額計算の要素に関する修正で、これらはインボイス制度への適合を保つための変更です。
国税庁の見解によれば、某社の修正は現行ソフトウェアの機能を保つための必要な変更であり、新機能の追加や向上には該当しないため、これらの修正にかかる費用は修繕費に分類される可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、受発注システムに新たに取引先登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトの情報を照合する自動機能を追加したり、請求書を電子で交付できるように仕様変更した場合、これらの修正は現行機能を保つだけでなく新機能を提供するものであり、その修正にかかる費用は資本的支出に該当する可能性があります。
いづれも、よくよく検討する必要があるでしょう。